【解説】接骨院・整骨院を開業する流れ
接骨院(整骨院)を開業することは、大きな挑戦であり、また大きなやりがいでもあります。
柔道整復師として独立するためには、単に技術や知識だけでなく、経営やマーケティング、法律面などさまざまな準備が必要です。
今回は、接骨院を開業するための流れを詳しく解説していきます。
接骨院・整骨院を開業する流れ
1. 事業計画と資金計画を立てる
接骨院を開業するためには、まず事業計画書を作成することが重要です。これにより、開業後の方向性が明確になり、必要な資金や資源が見えてきます。
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1-1 事業計画書
事業計画書には、接骨院のコンセプト、ターゲット患者層、サービス内容、競合分析、料金設定などを詳細に記載します。また、運営の目標や収益予測も含めることで、実現可能性を高めることができます。銀行からの借り入れにおいても事業計画がしっかりしていると有利に話が進むでしょう。 -
1-2 資金計画
開業資金は通常1000万円程度が目安となります。また開業後の運転資金も利益がゼロで6ヶ月分あると安心と言われます。ですので、開業資金と運転資金を考慮に入れた資金計画が必要です。開業資金の内訳としては、施設の賃貸費用、内装工事、医療機器の購入、広告費、人件費などが含まれます。資金調達方法としては、自己資金、銀行融資、開業支援制度の活用などがあります。
2. 必要な資格と研修
柔道整復師として開業するためには、当然、国家資格(柔道整復免許)が必要です。この資格を持っていることが開業の必須条件となりますが、資格を取得しただけでは開業できません。
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2-1 施術管理者研修の受講
開業には「施術管理者研修」を受ける必要があります。この研修は16時間のカリキュラムがあり、施術に関する知識や患者対応のスキルを再確認することができます。開業準備の一環として、この研修をしっかりと受けておくことが重要です。 -
2-2 実務経験の積み重ね
資格を取得した後は、実際の現場で十分な実務経験を積むことが大切です。患者さんとのコミュニケーション、適切な施術法の選択、接骨院の運営に関する知識など、現場で学べることは多いです。
3. 開業場所の選定
接骨院を開業する場所選びは、成功に大きな影響を与えます。立地が良ければ集客も見込めますし、逆に悪ければ経営が厳しくなる可能性もあります。
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3-1 ターゲットに合った立地選び
接骨院のターゲットとなる患者層を明確にし、その層に適した場所を選びます。例えば、高齢者が多いエリアであれば、バリアフリー設備や静かな環境が重視されるかもしれません。あなたの考えるターゲットが何を求めるか考えてみましょう。 -
3-2 競合との差別化
近隣の接骨院や整骨院の状況も調査しましょう。競合との差別化を図れる場所や、特定のニーズに応えることができる場所を選ぶことが、成功のカギを握ります。
4. レイアウト設計と施設準備
接骨院の開業にあたっては、施設の設計や準備が非常に重要です。患者さんが快適に過ごせる環境を作ることが、リピーター獲得のポイントとなります。
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4-1 内装とレイアウト
施設の内装は、施術の効果や接骨院の特色を最大限に引き出すために重要です。待機スペース、診療スペース、施術室の配置、物理療法機器の配置などを慎重に考慮し、患者さんが快適に過ごせる空間を作りましょう。 -
4-2 医療機器の選定
接骨院では、患者さんの状態に応じた物理療法機器を揃えることが求められます。最新の物理療法機器を導入することで、患者さんに信頼を与えることができます。超音波観察機器や姿勢分析機器などの導入も検討してみましょう。
5. 開業申請と手続き
接骨院を開業するためには、いくつかの法的な手続きを行う必要があります。これらの手続きを忘れずに行い、開業準備を整えましょう。
- 5-1 施術所開設届の提出
開設後10日以内に施術所開設届を保健所に提出します。保健所には事前相談が必要ですので、接骨院開設を計画し始めたら早めに保健所に相談しましょう。 -
5-2 開業届の提出
開業届を税務署に提出し、個人事業主としての登録を行います。これにより、正式に事業を始めることができます。これら手続きは、税理士に依頼することもできますので、税理士を探す必要があります。 -
5-3 消防法に基づく届出
施設が消防検査の基準を満たしているかを確認し、「防火対象物使用開始届出書」を消防署に届け出ます。また、入居する建物によっては防火管理者の選任が必要になるので、防火管理者講習の受講が必要になります。 -
5-4 診療報酬の申請
保険診療を行う場合、必要な手続きや契約を保険者と結びます。厚生労働省地方厚生局への療養費の受領委任に関する申し出、労災保険の取り扱い申請、生活保護受給者に施術を行うために管轄の福祉事務所に生活保護法指定施術者申請書の提出などです。この手続きは、入会していただければ都柔整が申請を行うので、詳細は都柔整にご質問ください。 - 5-5 社会保険・健康保険の申請
個人事業主の場合は、従業員を5名以上雇用する場合、健康保険や社会保険への加入が義務となります。
6. 広告宣伝と集客準備
開業後、安定した集客を確保するためには、開業前からの宣伝活動が欠かせません。接骨院として開業してからは柔道整復師法に注意しながら行う必要があります。
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6-1 ペルソナの明確化
マーケティングでの「ペルソナ」とは、ある特定の顧客層を代表して想像した架空の個人顧客像のことです。ターゲットと考えると、多くの人数を対象とするため広く考えがちですが、接骨院の強みを尖らせるためにペルソナを考えると良いと言われています。 -
6-2 SNSやウェブサイトの活用
SNSやウェブサイトを使って、開業前から地域の人々に自分の接骨院を認知してもらいましょう。Googleマイビジネスに登録し、Googleマップを使った口コミを活用することも集客に効果的です。開業した日にホームページがないことは、「何か新しい接骨院ができたんだ」と思った潜在顧客が、調べようと思ったときに調べられないと、それ以上の行動を起こしてくれないでしょう。せっかく興味を持った潜在顧客を失わないように、開業前から準備をしておきましょう。 -
6-3 地域広告やチラシ配布
地元の新聞やフリーペーパーに広告を出したり、チラシを配布することで、開業直後から多くの患者に知ってもらうことができます。しかし、柔道整復師法は広告制限を規定しています。当会にご相談いただければ、どのような広告が可能なのかの相談をいたします。
7. スタッフ採用と教育
スタッフの採用は、接骨院の運営において非常に重要です。適切なスタッフを採用し、患者さんに対して質の高いサービスを提供することが、成功に繋がります。
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7-1 スタッフ採用
スタッフ採用には、事業計画に基づき、求人サイトなどを用いて、正社員やアルバイトを採用する必要があります。
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7-2 スタッフ教育
スタッフ採用後は、戦力として育てるためのスタッフ教育が重要です。スタッフには、施術技術だけでなく、患者対応のスキルや接客マナーも教える必要があります。チームワークを大切にし、患者さんに信頼される環境作りを心がけましょう。
8. 開業後の運営と改善
開業後は、患者さんのフィードバックを基に、サービスの改善を行いましょう。また、経営面では収支の管理をしっかり行い、必要に応じてコスト削減や効率化を図ります。
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8-1 リピーター獲得のためのサービス向上
患者さんに満足してもらえる施術を提供し、リピーターを増やすことが成功への鍵です。患者さんは対面では本音は言いにくいものです。何に不満をもち、何を求めているのかは、経営やマーケティングを学ぶことことで洞察が深まってきます。東京都柔道整復師会では、経営セミナーを積極的に行っていますので、お問い合わせください。 -
8-2 確定申告に向けた準備
個人事業主ですと毎年2〜3月に前年度の確定申告を行う必要があります。自己申告するか、税理士に依頼するか検討し、そのための準備が必要です。確定申告の不安や悩みも、東京都柔道整復師会は相談できます。
まとめ
接骨院の開業には多くの準備と計画が必要ですが、しっかりとした準備を行えば、成功への道は開けます。
事業計画や資金計画、施設準備、広告宣伝など、一つ一つを丁寧に進めることが大切です。開業後も経営管理を行い、患者さんに信頼される接骨院を作り上げていきましょう。
この内容は、接骨院開業を成功させるための詳細なガイドです。すべてのステップをしっかりとこなして、開業に向けて準備を整えましょう。
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