過去の活動
モンゴルのテレビ局から取材を受ける
日本柔道整復師会の国際部では、J I C A(独立行政法人/国際協力機構)との契約を元に、モンゴル国内各地で『日本伝統治療(柔道整復術)普及プロジェクト』を行っています。
平成22年2月にスフバートル県で、3月に国立健康科学大学附属医療技術専門学校で行われた活動について現地テレビ局から取材を受け、モンゴル国内でテレビ放映されました。
その映像の中には、4月20日に急逝されました故 亀山 実 事業部長の活躍される姿が映し出されていました。業界としてこれまで経験のないJ I C Aとの大変困難な交渉を直接担当され、幾多の問題をクリアし承認を取り付けられた亀山理事が、こうした国際事業を通じて、柔道整復の可能性と将来性を夢見、人と人との触れ合いを信じ、この業界の発展を願った、その思い感じて頂けたらと思います。
日本の伝統医療を世界に伝える
(社)東京都柔道整復師会主導で始められた「柔道整復術を海外で必要としている国々に伝えよう」という国際支援事業が、数年の地道な活動の末、(社)日本柔道整復師会の事業へと吸い上げられ、外務省の依頼を受けて定期的に海外の国々で行われている。
今回は、3月末に酷寒のモンゴルで行われた公益活動の一部として、現地の医師たちへの指導の様子とその成果が産経新聞に「伝統的治療を指導」と大きく掲載された。
柔道整復術は、日本国内では「接骨院」の治療として広く知られており、他には様々なスポーツ大会の救護活動でも実績がある。特に捻挫・打撲・挫傷・骨折・脱臼などの外傷が発生した場合ですぐに整復処理が可能な極めて実践的な治療法であり、医療施設や搬送手段、固定材料等の整備が進んでいない地域に於いては、特に有効な救急処置を得意としている。国内では災害時の対応として、各行政機関からも大きな期待をされている。
(2008/04/20 「産経新聞」より抜粋)
中学校の武道必修化に対する対応
文部科学省は、平成20年3月28日に中学校学習指導要領の改訂を告示し、新要領では、中学校保健体育において武道・ダンスを必修とする方針を打ち出した。それを受け当会では、公益社団法人として公教育の分野においても社会貢献することを前向きに考え、執行部を中心に協議を重ねた。そして平成22年度には、文部科学省・東京都教育庁に対して、『柔道整復師による中学校での柔道指導実施』に向けた強い思いを直接伝え、その中で柔道と柔道整復師の歴史・役割についての詳細な説明を行ったことが小さな芽吹きとなり、後に結実することとなった。
平成24年度の実施に先駆け、平成22年度はまず1校での柔道指導を目指し、東京都教育長への概要説明から始まり、市教育委員会・人材バンクとの情報交換を行なった結果、平成22年11月に調布市立第八中学校で実現する事となった。それに際し、指導者の選定ついては、当会事業部柔道部会の難波英樹代表に依頼し、柔道高段者であり試合会場での救護をも行える柔道部会所属の会員2名を任命することとした。
平成24年度の武道必修化実施の課題として、
- 体育科教員の武道専門技量不足と人員不足
- 柔道を体育として捉える履修体系や内容の是非が全く問われていない
- 畳や道着等環境設備の整備の遅れ
等が考えられるが、最大の課題としては『柔道の何を生徒に教えたらよいのか』について全く議論されていないことが挙げられる。さらには、一般的に『柔道はケガが少なくない』とする問題もあり、また女子生徒の保護者からは、寝技指導に対する不安の声も多く聞かれたこともあり、要領には指導者の要件として、柔道高段者による指導カリキュラムでの受け身の修練の徹底に加え、指導者が外傷に対応できる柔道整復師であり、また公益社団柔道接骨師会会員であることを説明し理解を得ることができた。
中学の武道必修化に対する対応 ②
また先述の「柔道を教える目的」については、公益社団法人東京都柔道接骨師会では、格闘的な稽古を行う中にあっても、互いに精神を鍛え合い、相手を尊重するという武道の精神である「礼」を重んじ、学校での授業や部活動のみならず、社会生活においても「礼法を正しく行えるようにする事」を中学校武道必修化に対する第一の目的とし、
- 競技柔道ではなく、精神柔道である徳育に重点を置く事。
- 柔道整復師として発育段階の子供に対し、ケガの予防・救護処置等もわかりやすく指導する事を柱に置いた。
さらに、公益社団法人東京都柔道接骨師会会員が指導を行うことによる「安心・安全」として、
- 公益社団法人会員であり、柔道指導者登録数も多く、その履歴も明らかである。また、柔道選手としての経験も豊富な柔道4段以上の高段者が多く在籍している。そして、柔道整復師であることから、ケガの予防・応急救護処置に対応が出来る。
- 実施中学校周辺で接骨院を開業していることから、柔道指導以外にも日常的に地域活動に貢献している。
事が挙げられる。
そして、平成22年度に行われた実際の指導要綱では、「立ち技などの試合は行わない」となっており、ケガの予防についての指導も
- 1年次(初心者)受身の習得中に頭を打ち付けることの危険性を説明 ―脳外傷予防指導=受身の重要性、引き手の重要性―
- 3年次(慣れてきた頃)試合内の受身、引き手の重要性を説明 -脊髄損傷の予防指導=受身の重要性、引き手の重要性―
などを重要な位置づけとした。
中学の武道必修化に対する対応 ③
また学年別の習得項目としては下記のように構築した。
1年次
- 座礼、立礼の流れ
- 前受け身、後ろ受け身、横受け身、前回り受け身の習得
- 組手の基本(右利き、左利き)を覚える
2年次
- 座礼、立礼の流れ(習慣づけ)
- 膝立ち位置と相手は立位で組み、引き手を引くように倒し受け身をとる
- 寝技、けさ固め、縦四方固めの習得
3年次
- 座礼、立礼を通じ相手を敬う精神を修養する
- 立ち技の習得
- 試合形式での寝技ができるようになる
- 形稽古を経験させる
今回の実施における反省点としては、
- 期間・授業時間に制約があり、生徒との人間関係の構築が上手くできなかった。
- 柔道に対する認識の違い(短期間による技術習得が困難なこと。技に対する誤解と危険性の不認識)が挙げられる。また、これらを解決するためには①カリキュラムの統一と継続性を求める。②生徒とのコミュニケーション向上及び授業を円滑に進める上で、道義に名前を付ける。
- 柔道指導の目的意識の徹底。
- 外部指導員であることから、保護者等への紹介の徹底が必要と思われた。
この度の武道必修化に対応した柔道指導者派遣については、外傷の予防という観点からも、必要となる要件を柔道整復師が最も備えている存在で有る事を社会に認知して貰うことが重要であり、今回有効な結果となったことに、私達は自信を深めると共に実証することが出来たと考えている。
さらに公益社団法人である当会は、日本伝統医療である柔道整復学及び柔道整復術の進歩発展と柔道整復師の資質の向上を図るとともに、保険・医療・福祉に関する諸制度の円滑な運営と健全な発展に寄与することにより、都民の保健・福祉の増進に貢献することを目的にしている。日本伝統武道である柔道を習得している会員を多数有する当会は、これまで以上に東京都の公教育・中学生の健全育成に対し、積極的な貢献をしていきたい。