【改革の歩み—第20話】
動き出した柔整改革


 

  皆さん、こんにちは。公益社団法人東京都柔道整復師会会長の工藤鉄男です。

  さて、去る3月26日「第2回 柔整療養費検討専門委員会」が開催され、柔整療養費の料金改定が議論されました。
  その内容につきましては『受傷初期段階での施術の充実』という観点から、改定率は0%ながら、初検料・再検料・施療料・後療料のそれぞれについて僅かに引き上げ案が厚労省より提案され、委員会開催後には日整による運用面への修正交渉の末、金額面はそのままで決定されました。
  今回の療養費改定は、厚労省へ要望を出すだけの前回までの交渉方法とは異なり、請求側である我々柔整師の他に、支払者側を代表する保険者と有識者も加わった三者が、過去に例のない公開の場に集められ会議を開き、それぞれから活発な意見が交わされました。しかし、結局のところは『中長期的視点で柔整の制度を見直す』という、委員会の本来の目的部分を後回しにしたために、いま柔整療養費を正しく運用するために、いったい何が問題なのか・何をどう修正すべきなのか?という最も重要な本丸の議論が抜け落ちたまま、財源論を中心として、各方面からの要望を厚労省が取り纏めた「幕の内弁当」のような折衷案が作られ、結論を先送りしたまま「とりあえずの料金改定案」に各委員も十分な納得がいかぬままに合意するという形で厚労省へ最終調整が一任され、一年遅れの平成24年度の料金改定が今回の決定に至った訳です。
  こうした経緯から、今後この委員会への対応は、これまでのように「声の大きな者の意見が通る」ことがないように、そして国民目線から外れた財源論を軸とした方向に流されないよう注意し、また同時に、我々柔道整復師会も業界の都合を優先せずに、あくまでも『柔整の受領委任制度は地域住民の利便性のためのものであり、国民のための制度である』という事実を肝に銘じ、その立場からの意見を発信しなければなりません。そして、日本古来の伝統医療として、それぞれの地域に於いて、接骨院とそれを支える療養費の仕組みが、これまで各地域の人々としっかりと“絆”を結んでこられた経緯を、未来の柔道整復療養費制度を考えるこうした場で、しっかりと伝える努力をし続け、今後も堅持しなければならないと考えています。
  また、何度も繰り返す政権交代や多くの改革議論の中で、やみくもな「規制緩和」や「構造改革」では、日本人の実生活や社会生活に根ざした仕組みを創り得ないことは既に明確になりました。そして、利益を最優先する経済優先主義の結論が、格差の拡大や不公平な制度運用に至っていることも事実だと思われます。あらためて、地域社会をそこに住む人達のためのものにするには、誰もが皆、それぞれに自分のことだけでなく、周りの人のことを思い「絆」を結ぶことの大切さを感じています。
  我が柔整業界では、現在の公益法人改革の流れに応じて、より地域住民の益を優先する組織として、現時点で31都道府県の社団柔整師会が「公益社団法人」の認定を得て、これまで以上に公益活動を充実させ、地域住民との「絆」を更に堅く結んでいこうとしています。そして、業界のこうした方向性を維持するためにも、私益ではなく公益を重視する方向性として「受領委任の三者協定」を、あらためて今の時代にあったものへと修正し、再締結する必要があると考えています。 どうか、今後も、接骨院が地域の人々や社会に必要とされる業種であり続けられるよう、また、柔整業界が国益になり得る組織でいられるよう、会員・同志のご理解・ご協力を賜りますよう、心からお願い申し上げまして挨拶に代えさせて頂きます。