【改革の歩み—第17話】
自浄の覚悟


 

 皆さんこんにちは。公益社団法人 東京都柔道整復師会会長の工藤鉄男です。

  去る10月19日に、社会保障審議会の「柔整療養費検討専門委員会」が開催され、私もそこに委員として参加して参りました。この委員会の行方次第では正に柔整業界が「風雲急を告げる」ことになろうかと思われます。しかし、今回はまだ初回ということで具体的な決定事項はありませんでしたが、次回は、厚労省から今度の療養費改定案が提出され、保険者側、施術者側との議論の末に、今回の料金改定が決定することになろうかと思われます。この第1回の委員会の様子については、当会ホームページからも速報がご覧いただけますので、是非ご覧下さい。
  また、この委員会では、引き続き「中長期的視点で、柔整の制度も含めた、柔道整復師の在り方自体」が検討されることになっています。つまり、支払者側・施術側に加え、政府(厚労省)の意見も重ねて、これからの柔整業界をどのようにしていくのか?「医療の中の柔道整復の位置づけ」についての話し合いが行われる予定です。
  個人的には今後を予測しますと、次回は特に柔整療養費の「総額」、つまり「柔整療養費の量」について話し合われると思われますが、実はその背景にはもっと重要な事があります。それは「柔整療養費の質」を改善するにはどうするか?という問題です。これは別の問題と捉われがちですが、実は表裏一体のものです。
  具体的には、我が柔整施術者サイドからは、柔整療養費の「総額」ではなく、その元となる柔整療養費の「審査体制の強化」や、「卒後研修の制度化」「開業後の保険取り扱い認定」等を実現させることによって「柔整療養費の質」を改善し、その結果として、柔整療養費の適正化につなげるという明確な方向性を主張しなければなりません。
  業界そのものの質、つまり「柔整療養費の質」が改善されることで、必ず「柔整療養費の量」が適正化に向かうということを強く訴えたいと思います。何の裏付けもなく、ただ総額だけを見て対応を決めても、根本的な解決になる筈もありません。この部分を社会に広く知って貰い、そして正しく理解をして貰うためには、今後の柔整業界自身の果たす役割が非常に重要です。積極的に、かつ能動的に動く必要がありますが、今こそ、業界が動かなければならない時だと思います。
  例えば、ある一定の水準を満たさなければ保険の取り扱いをさせない仕組みづくりは保険者にとっても歓迎すべきことです。また「審査強化」については柔整の特性を最も理解した柔道整復師自身が審査することで、その審査力をより発揮できる「柔整業界主導の審査」の必要性を、現状との比較を提示することで支払者側にご理解を得るチャンスでもあります。
  さらには「卒後研修」を必須とすることで、柔道整復師の技術的な資質が向上し、それが「柔整療養費の質」の改善に繋がるということを、厚労省にご理解を得るチャンスになると思います。
  つまり、この委員会の設置は、柔整療養費適正化のために、関係機関に対し、業界が自ら改革案を提言できる場を与えられた最大の好機となります。しかし、逆を言えば、業界が自分で改革案を提示できなければ、外圧による改革を迫られることになります。いわば、両刃の剣でもあることを覚悟しなければなりません。
  今後の「柔整療養費検討専門委員会」において、そのことを肝に銘じ、決して我田引水ではなく、患者さんのため、社会のため、そして柔整業界の将来のためになるような結果を導き出せるよう、業界の代表者として参加していく所存です。
  どうか、会員の皆さんには、柔整の歴史上、大変重要な時期を迎えているということをご承知いただき、ご理解ご協力をお願い申し上げ、挨拶に代えさせて頂きます。