【改革の歩み—第16話】
医業である柔整


 

 皆さん、こんにちは。公益社団法人 東京都柔道整復師会 会長の工藤鉄男です。

  3年前、日本国民の大きな期待を受けて実現した政権交代は、掲げた多くのマニフェストを実現できぬまま、決してしないと公約した増税だけが先行し、一体改革は名ばかりで、社会保障改革を置き去りのまま進められています。我が業界においては、本来であれば、4月の医療費改定に続いて、6月には柔整療養費も改定される予定でしたが、各方面から柔整療養費適正化の大合唱が起こり、社会保障審議会で柔整療養費専門委員会が設置され、今後の柔整療養費について、制度設計も含めた中長期的な視点での話し合いがされることになりました。こうした流れは、政権交代等で国の仕組みに混乱が生じた激動期の証であると同時に、我々にとっては、なかなか進まなかった、柔整業界改革への一歩を踏み出す、またとない好機であります。しかし、そのためには、これまで我が業界が指摘されたことを一つ一つ詳細に分析し、柔整業界にとって、また我々の所に通院する地域の患者さん達にとって、今後この業界がどうあるべきかという、明確な方向性を一刻も早く内外に示す必要があります。
  このような激動期には、何よりも「明確なビジョン」を持ち、それを「実行する力」、「スピード」、そして、情報を駆使した「危機管理能力」が必要です。これから先は、「今のまま」、「これまで通り」は有り得ません。立ち止まればたちどころに激流に呑み込まれてしまうでしょう。この激流を抜けるには、我々にも痛みが生じる覚悟を持ち、目先の損得で考えるのではなく、次の世代へ繋ぎ、さらにその先も視野に入れた改革が必要です。やり方次第では、業界最大の懸案事項でもある個人契約制度という、「業界のねじれ現象」へも着手する絶好の機会ともなるのです。
  我々柔道整復師が、医師や歯科医師などと同等に、国が認めた国家資格を持つ立場であることを堂々と示し、柔道整復師法という単独法によって業務を認められている背景を前面に立て、厚労省をはじめとした、各行政や関係団体も説得し得る、圧倒的な情熱をもって、何事にも揺るがない、改革への強い硬い決意が必要となるのです。これから議論が行われる予定の社会保障審議会に於いては、柔道整復師だけでなく、患者さんや国民の誰にもが納得できるビジョンを示し、地域社会から求められる柔道整復師とその技術、それらを束ね信頼される業界を確立することを主張していかなければなりません。そうした意味からも、厚労省との交渉は大変な作業になるものと思われますが、会員の皆様が柔道整復師という仕事に対し、これから先も、誇りと生き甲斐を持ち続けられるよう、全力で取り組んでまいります。会員の皆様には、今後ともご理解ご協力の程、心からお願いを申し上げます。