【改革の歩み—第14話】
地域に根ざして


 

 東京都民の皆さん、そして都内で接骨院を開業する、柔道整復師の皆さん、こんにちは。公益社団法人東京都柔道整復師会会長の工藤鉄男です。

  さて、現在日本を取り巻く状況は厳しさを増し、国内の様々な仕組みや制度、更には他国間との取り決めさえも見直され始めています。そして何よりも国民の生活環境を大きく変える「社会保障と税の一体改革」などの改革が進められていることは、皆さんもご承知の通りです。接骨院を営む我々の業界は、変化が求められるその「社会保障」の枠に属しています。
  この激動の時に、国や行政から改変を迫られる前に、我々は自ら改革の提案をしたいと願い、昨年「公益社団」の認定を得て、都民・地域住民のために役立てる組織として再出発をしました。今後は、接骨院とその業界が、この期待に応え、東京都そして日本という国の国益に如何に寄与し、どのように貢献できるのかを考え、行動しなければなりません。しかし、大変遺憾ではありますが、メディア等で報道されている通り、我が業界の中には、公益組織にも属さず、地域社会へ貢献する公益活動も一切せず、ただただ 自分の利益ばかりを求めて不正に走る個人主義の人達がいるのも確かです。
  そうした人達は増える傾向にあり、このまま放置し、業界内を自浄できなければ、接骨院が社会保障制度の枠から外されてしまう可能性もあるでしょう。そうなれば、ケガを治すために接骨院へ通院する多くの患者さんや地域の人達の安心・安全をささえている生活環境を奪ってしまうことにもなりかねません。そうした事態を回避するためにも、柔整療養費の適正化は業界が進んで実現させたい第一の悲願でもあります。
  しかし、接骨院を受診すること自体がいけない事かのような、行き過ぎた報道や保険者の通知が、患者さんの受診抑制へとつながってしまう側面も見られ、正しい施術をしている柔道整復師や患者さん自身の健康にまでも不利益を与えている現状は見逃す訳にはいきません。そして、困っている人達や正しい者を救い、不正をなくすためには、対応すべきポイントを見誤ってはいけません。不正を根絶するためには、何よりも柔整療養費支給審査会の権限を強化して、請求自体を厳しく監視する必要があります。さらには、公益事業として公認された「受領委任」についても、その扱いを厳しく掌握できるよう、協定の内容を詳細に吟味し、都知事・厚生局と慎重に協議した上で再協定を締結する必要があると考えています。そして、厳しい認定条件を満たし、公益社団法人という公的に信頼の認定を得た組織が、そのガバナンスを発揮して、何としても業界内にコンプライアンスを構築する必要があります。また、我々の活動の現場では、日常のケガへの施術のみならず、将来、地域を担う若者たちに対しては、東京都教育庁と連携して、小学校での歩行指導、そして中学校の武道必修化に対しては、柔道指導による健全な精神づくりにも寄与しています。また、今後更に増加していく高齢者に対しては、いつまでも健康を保持し、介護状態にならないように運動器の機能訓練を行い、会話や触れ合いによって頼るだけでない自立した笑顔の高齢者の増加に寄与しています。
  今後も公益社団の柔道整復師として、地域に貢献する活動や、柔整業界を健全な方向に導く活動を続けていくことが、この業界の生命線と理解しています。柔整業界にある「精力善用」という言葉を再確認して、また、会員の皆さんも今一度足元を見つめなおして、今、行動を起こさねばならないことをご理解いただければ、必ずや柔整業界の発展につながると信じています。これからも、ご理解ご協力を賜りますようお願い申し上げます。