【改革の歩み—第10話】
「信頼回復へ」


 

皆さんこんにちは。社団法人東京都柔道整復師会会長の工藤鉄男です。

さて、一昨年に政府が行なった「事業仕分け」への評価には、賛否両論があるものの、その結果を受けた昨年の「柔整療養費[りょうようひ]改定」では、我が業界にも大きな高波が打ち寄せました。そして、社団・非社団の区別なく、柔道整復師という資格を持つすべての者に「信頼の回復」という大きな課題が科せられたと思っています。

 このような事態となった一番の理由は、業界自体の規模を自ら管理できない養成校の乱立問題、技術が未熟なままに開業できてしまう制度、国民のために存在する受領委任制度[じゅりょういにんせいど]を正しく理解せず、利益追求に走る一部の者達を取り締まりきれない審査体制などに業界の[ほころ]びの発端があり、長くそれらを改善しきれずにいたことが原因だと思います。

 これらを解決するには、原因となる事案を一つに結び、短期的な成果主義に陥ることなく、柔整業界全体を俯瞰[ふかん]し、今後、長期的に、柔道整復師の基本的な柱となる、明確な『基準』を新たに設定して、業界の50年先を見据えた、大局的なビジョンに立った議論・施策が必要だと思います。

 具体的には、医療費抑制や健全な社会保障制度の運用、無駄や不正の排除について、現行のルールでは、「社団」に属さない「個人」の柔道整復師に対しては、社団による請求適正化の監督指導が及ばないというジレンマがあり、地域社会で先達が築いた信用が、営利に走る者達の悪しき振る舞いによって大きく傷つけられています。

 このまま悪貨[あっか]良貨[りょうか]駆逐[くちく]されることなく、もう一度、胸を張って、自信と誇りの持てる「業界の復活」へ向けた請求適正化は、我々真の柔道整復師の悲願でもあるのです。 そのために、我が業界は自ら立ち上がり、新公益法人という大きな信用を背景にして、すすんで行政や保険者と連携し合い、保険者自身が本来持っている審査権限を強化し、強い公的審査会の設立に協力したいと思います。

 また、学校協会などとも積極的に連携して、日本医師会からも賛同をいただいている、柔道整復研修試験財団が行っている「卒後研修」を充実させ、さらには一定の研修を経なければ、受領委任を扱えないような制度の確立へと進めていく必要があると考えます。

 今後は、これまで以上の透明性やコンプライアンス(法令遵守[ほうれいじゅんしゅ])を実現させ、社会からの信頼を得て、不正や誤りを排除し、患者さんのために正しく柔道整復術を[つらぬ]く者による、輝かしい時代を[ひら]きたいと思います。

 日本という国が構造改革を必要とし、模索している今、我々柔整業界にも、自ら改革することが求められていることを、どうかご理解頂き、皆さんのご協力を心からお願い申し上げます。