【改革の歩み—第9話/2011年 新年挨拶】
「情熱をつなぐ!」


 

 新年あけましておめでとうございます。

 社団法人東京都柔道整復師会 会長の 工藤鉄男 です。
 都内の接骨院・整骨院へ通院していただいている都民の皆様、そして、当会の会員並びにご家族の皆さんに於かれましては、恙なく新年を迎えられたことと心よりお慶び申し上げます。また、旧年中、当会が頂戴致しましたご理解ご協力に深く御礼申し上げます。

 さて、私からの新年の第一声として、今年の3つのキーワードをお話したいと思います。 先ず第1は『患者利益』です。
 昭和63年に個人契約制度が始められ、それまで業界にあった暗黙の了解や、自主規制的なルール・秩序が崩壊してしまいました。それ以降、全てではありませんが、我が業界は、秩序を維持しようとする「社団」と、それ以外の「個人」という二つの柔道整復師に分かれ、利を求めた企業や個人がなだれ込み、学校や資格者が急増することで学生や資格者の資質が低下し、モラルさえも地に落ちました。今、その復活が各地域で望まれています。
 こうしたカオス(混沌・混乱)の状態を打破するには、新なる秩序の形成が不可欠です。そこに必要となる一番の要素は、決して強いヒーローの活躍ではありません。それは、いたって単純な「患者利益」の実現です。すべてはその視点から進めなければなりません。
 いま、収益を求め己の利ばかりに傾向する営利主義者や、法やルールを平気で破る者達に、これ以上無法な振る舞いができないような厳しい環境を作らなければなりません。そのためには「何が患者の利益につながるのか?」という点を最重要とし、その達成のために業界内の組織を、再び構築し直して、理解し協力する者を中心として制度改革を進めたいと思います。

 そして第2は『信頼の回復』です。
 現在、当会会員の理解のもと、執行部が中心となって粉骨砕身の思いで準備を重ねてまいりました「新公益法人」の取得に向けて、今年はいよいよ集大成ともいえる仕上げの年となります。国が進める公益法人改革に対応し、当会は、これまで以上に遥かに高いハードルである「新公益社団法人」を無事に取得することで、そこから得られる新たな、そして確固たる「信頼」を背景として、政府・行政とさらなる対話を深め、過去の歴史で成し得なかった柔道整復師の業務内容について法制化に向けて大きく踏み出そうと考えます。
 そして、その「信頼」を勝ち取るには、事業仕分けやメディア等に取り立たされ、社会から我が業界へ向けられた様々な疑問符に対し、例え、どれほど大きな痛みを伴ってでも業界の自浄能力を示し、請求適性化や審査強化等の施作を自ら打ち出して、日本国民に広く提示したいと思います。

 第3は『情熱』です。
 現在の日本は、政権交代以降、様々な仕組みが空回りし、掲げた公約が守られないばかりか、国の基盤である安全保障、社会保障ですら危ぶまれる状況が続いています。国民の生活は困窮し、雇用も経済も回復の兆しすら見えて来ません。しかし、この場で我々は国を捨て、子供達の未来を諦めてしまう訳にはいきません。
 我々には国全体を変える「大きな力」はありませんが、地域社会のために、武道による青少年の健全な育成や、ケガをして痛みに苦しむ人達、運動器の機能低下に困っている高齢者を手助けし、笑顔と安心の町づくりをするための「小さな力」を一人一人の柔道整復師が持っています。
 世界に類を見ない速度で高齢化が進行する日本に於いて、柔道整復師という「国家資格」と「心に触れる手当て」が果たせる役割りは、医師とは別の尺度でその必要性を多くの専門家が認め、我々の活躍を望んでいます。
 法や制度・ルールの整備が遅れ、業界内が混乱し、秩序が乱されてしまったとはいえ、我々に熱い「情熱」さえあれば、どんなに苦難な道でも一歩一歩進むことはできる筈です。その正当性を傍にいる人に、伝え繰り返すことで多くの国民・都民のご理解へと広げ、そして困っている人達を一人でも多く救うことができるようにするために、我々の「情熱」を日本中の柔道整復師につなげたいと思っています。

 最後に、本年は当会設立60周年にあたり、我が業界の諸先輩の功績を再認識するとともに、現在の日本の国益・国民益に柔整業界が寄与するために、我々柔道整復師が如何に行動できるのかを念頭に入れ、残すべき良い部分と改善すべき部分とを見極めながら全力で突き進みたいと思います。皆様、本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。